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最上級の飾り面

2020年4月28日
皆様、こんにちは。
今日は飾り面のお話を。

いきなりですが、「飾り面の中で、最も位が高く、高貴なもの」をご存じですか。

それは、「鍾馗と鬼一対もの」なんです。
「鍾馗」という演目は、石見神楽の中で、最も重要視かつ神聖視されている演目ですね。

中国、唐の時代の玄宗皇帝が病に伏したとき、病床で夢の中に現れた一人の青年(鍾馗)が、自らの病の根源である疫神を退治したという伝説からきています。

京都では、その昔、とある薬屋に立派な鬼瓦が設置されたのですが、その後、向いの家の住人が病気にかかってしまったため、これを祓い退けるために、鬼より強い「鍾馗」像を構えたところ、たちまち病が治ったという言い伝えから、「鍾馗の鬼瓦」を構えるところが増えたという歴史があります。
「病気を退治する神」という存在だけでなく、「家を守る神」として信仰が深まったわけですね。
(ちなみに京都には「鍾馗神社」というのがあるのですが、これについては、後ほどご説明いたします。)

さて、コロナウイルスの感染拡大で日々不安な日々を送っていますが、この度ご縁をいただきまして、この最上級とされる飾り面「鍾馗・鬼一対」の制作をさせていただきました。



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鐘馗・鬼一対の飾り面


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鬼側


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神側


こちらは、松江市在住のお宅に嫁ぐことになりました。

ちなみに、飾り面における「鍾馗(神)」と「鬼」の左右の配置についてお伝えしましょう。
あくまでも「小林工房における飾り面の配置方法」であり、すべての飾り面がそうであるということではありませんので、くれぐれも解釈の間違いがないよう、よろしくお願いいたします。

通常、神と鬼の面がセットになる場合、向かって「右側」が上位とされますので、右に神(鍾馗)、左に鬼(疫神)を置きます。
しかし、逆の場合があります。それはどのような状態の時か。

答えは、家の間取りです。

飾り面は通常、家の玄関に飾りますが、その玄関から入って「居住空間が右側か、左側か」によって配置が異なります。

玄関入って右側に居住空間がある場合は、「右に神、左に鬼」です。
逆に、左側に居住空間がある場合は、「右に鬼、左に神」です。

では、玄関入って正面ではなく、横の壁側にかけたい場合はどうなるか。
その場合、右側の壁にかける場合は、「右に鬼、左に神」で、左側にかける場合は「右に神、左に鬼」となります。

つまり、居住空間に「より近い方」が神様で、「離れている方」つまり「外に近い方」が鬼になるのです。

節分のときに、子どもたちが大声で叫ぶあの掛け声、、、「鬼は外~、福は内~」の、まさにあの通りなのです。
なので、新築祝いなどで、「鍾馗鬼一対の飾り面を」とご要望をいただいた時には、必ず家の間取りを聞いて配置を決めているのです。
(何度もいいますが、小林工房での取り付け方法であり、全国共通ではありません)

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手書きですみません、要するにこういうことです。


あと、飾り面に欠かせない「板(焼杉の板)」の木目もその方向に従って、右上がりなのか、左上がりなのかが決まります。

こうやって、そのお宅に合わせた配置と思いで制作しているわけです。



いかがでしょうか。

ちなみに、、冒頭でお話した「鍾馗神社」について。


これは、京都市東山区五条坂にございます「若宮八幡宮社」境内にありまして、この「鍾馗神社」は私の母校である「京都造形芸術大学(現:京都芸術大学)」の取り組みにより、平成25年12月に新しく建立されたのです。

そして、こちらもご縁いただきまして、鍾馗面を奉納させていただいてます。


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奥にひっそりと・・・佇んでおられます。


スペースの問題と、屋外という環境のため、「素焼き面」ですが、同じくやきもので制作されている鍾馗像の背後に据えられて、大変光栄なことです。

今度、京都に出向いた時にはぜひとも参拝したいところです!


ということで、今日も一日元気に過ごせました。
当たり前の日常が、いかに有り難いことか、、、こういう時ふと感じるものですね。

1日1日に感謝をし、今日を締めくくりたいと思います。


それでは、また!!
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