という感じで、仕上がりました!
一見、「蛇頭より簡単そう」と思われるかもしれませんが、実は違うんですよ。
めちゃくちゃ難しいんです。
まず、①指定の寸法に合わせないといけません。
→粘土の収縮も把握したうえで、底辺・奥行・高さ・幅など、それはそれは緻密な計算がいるのです。
②和紙貼りは超丁寧にしないといけません。
→見た目は蛇頭は複雑、獅子頭は単純、、、に見えますが、ところがどっこい、フラットな部分が多いからこそ、デコボコしないように平らに貼らないといけないのです。これが実に難しい。。。
③かといって、薄いとダメ。頑丈に貼らないといけない。
→仕上がりをきれいにしようとすると、当然薄い和紙を何枚も、、、となりますが、それを繰り返していてはどんなに早く注文を受けていても、年をまたいじゃいます。なので、厚手の和紙をしっかり伸ばしながら、「ある方向、ある角度」に入っていくように貼っていくのです。これは口ではうまく説明できませんが、そうすることで上から落としてもヘコまない頑丈さを手に入れることができます。
④金箔の箔押し
→正直いいますと、この「箔押し」が獅子頭で最も大変です。
とりあえず、貼る場所が多い。そして、丸いところもあれば、ものすごく窪んだところもあります。長~く連なっているところもあります。おそらく、この作業だけで6時間はかかっています。。。これを何とか半分の3時間に短縮できるようになること、これが目下、私の課題です。
⑤組み立て
→彩色が終わって、毛植えも終わって、「よっしゃ、終わった!」、、、なんて気楽なことが言えないのが獅子頭制作。
こっからが大変なんです。
下あごと本体、さらに可動式となる「耳」部分の取り付け作業が入ります。
下あごは「かみ合わせ」、「開閉の滑らかさ」、そして時には「(高い)音が出るように」という、レベルの高い注文もあるのです。
この作業は、口で言うとそんなに時間がかからないイメージですが、1~2ミリの誤差があとで大変なズレとなって表れてくる作業のため、仮テープ(マスキングテープ)を使って、仮止め、仮止め、仮止め、、、と念には念を入れて固定させていきます。
(過去、全部取り付けて、ほんの数ミリの噛み合わせが悪く、全部取り外して1からやり直したこともあるほど、最終的に一番目立つ作業となるんです。)
ここには書ききれないほどの失敗と、そこから学んで得た「コツ」「テクニック」を経て、ようやく獅子頭は生まれてきます。
普通の神楽面に慣れていると、間違いなくギブアップするであろう「獅子頭」ですが、今ではとても楽しく作らさせていただいてますね。
ただ、まだまだなんです。
作り終わって、やっぱり「ああ、ここはこうした方がいいな」と思えることが、山ほど。
だからこそ、「どうすれば、美しく仕上げられるか」という課題は永遠についてくるでしょう。それほど仕事の丁寧さ、雑さが一目瞭然となるのですから。
ということで、まだまだ発展途上にある「小林工房」ですが、石見神楽面職人唯一の獅子頭制作に取り組む店として、これからも「獅子頭」制作には力を入れていこうと思います。
お祭りなどで傷んでいる獅子を新しくしたい、軽くしたい、などのご要望がございましいたら、お気軽にお問合せいただきたいと思います。
さっ、ということで、今週は「蛇頭」制作をやり遂げますよ~~~!!