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天井レリーフへの道 ~ホテルKararako~

2023年9月29日
2023年は、ひたすら「挑戦」の年となっています。

この度、出雲大社の神門通りにオープンしました「ホテルKararakoー神等楽来ー」様のご依頼により、レストラン天井部の壁画レリーフを製作させていただきました。


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昼の風景
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レセプションパーティーの様子
こちらのホテルをデザイン・プロデュースされたのが江津市にございます「デザインオフィスSUKIMONO」様で、オーナー様の御意向である「天井に和紙の雲を」というご依頼をもとに、SUKIMONOスタッフの皆様と度重なる調整と実験を重ね、先月、無事に納品設置をさせていただきました。

今作では、「出雲」「八雲」「八百万神々」から着想し、Kararako様の漢字表記である「神等楽来」の語意をもとに、私なりの解釈で、「神迎え」「神降ろし」「神遊び」という石見神楽の世界観も表現しました。

天井にはランダムに行き来する七つの雲があり、これらは「陰・陽・木・火・土・金・水」の神々を指し、四方八方より集う神々と、全国や世界から訪れるお客様とが、カミノチカラ(神の力・紙の力・神の地から)によって巡り合い、喜び合うという願いを込めました。

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粘土造形の様子
とはいえ、制作は始終、てんてこまいでして、、、第1工程の粘土造形は、縦900㎜ ×ヨコ3,600㎜と超巨大であり、使用する粘土の量も通常の神楽面の約200倍が必要でして、それが合計7つですから、粘土量だけでも1年分の粘土を使用したわけです。

さらに、それが乾燥する際に起きる「乾燥割れ」。
これが強敵でして、急激な乾燥は大きなズレが生じてしまい、のちのちの作業に大きく影響します。かといって、ゆっくり乾燥していては作業が進まない。。。それを解決させるために、はじめて「左官」技術を取り入れました。これが功を奏し、夏場の急激な温度変化にも耐え、最小限の縮みで、次の作業にうつることができました。

(画像の粘土型は試作品のため、大きく割れています。)
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もはや、歩くスペースもございません。
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他の制作を一旦ストップさせ、全集中です。
和紙貼りの作業にもなると、もはや歩くスペースすらとれませんから、土台になっているケースをくぐったり、思いっきりジャンプして飛び越えたり、、、少し、あるまじき行為ではありますが、そうでもしないと作業ができない状況でありました。

しかし、この和紙貼りも通常の神楽面の貼り方とは全く異なり、小林工房独自のレリーフ技術でして、「頑丈かつ美しく」仕上げる技法を追求できています。
まだまだ技法の充実度は高くはありませんが、おそらく、この技法があれば、ほかのレリーフ作品にも応用できるのではないか、と感じています。
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娘も手伝ってくれて、「脱活」も完了!
和紙貼りが終わると、「脱活」です。
これも、サイズが特大なので、簡単にはいきません。頭の中では「割れば、軽くなる」と思うのですが、、、そもそも割るまでに時間がかかる。。。

粘土が重すぎてそう簡単には動かせませんし、動いたところで割るためのスペース確保ができない。

そこで頼りになるのは、家族であります。
右へ、左へ、奥へ、手前へと、数人がかりで作業を進めていくのです。結果、最後の方になると、一人で全脱できていましたが、やはり家族の協力は必須ですね。

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脱活後の和紙作品は、「渋止め」を行い、自然乾燥です。
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重さ100キロ近くもあった雲型は、あっという間に1㎏弱の軽さに。
自然乾燥を終え、和紙のみとなった雲型は、まさに夏の入道雲のように沸き立っているようでした。

粘土で造形し、和紙を貼り、元の粘土を打ち壊すことで素地が生まれる、この「石見神楽面」の技法を、私は2016年より「壁画レリーフ」作品として取り組み、発表してきましたが、ここまで巨大な作品は今回が初めてです。
しかし、この仕事をさせていただいたことで、新たな技法や素材の組み合わせ、さらに技術が高まってきつつありますので、今後は巨大な和紙造形物の制作が可能となりました。

和紙レリーフ作家としても、新しい表現分野の開拓を進めていきたいと思います。

ということで、ぜひ、出雲市は神門通りにございます「ホテルKararako」にご宿泊いただきたいと思います。
→https://kararako.jp/
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ホテルKararako
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