猿面が使用されるのは、「頼政」という演目です。
平安時代の武将であり、歌人である源頼政が、毎夜、丑の時刻に現れる「鵺」を征伐するという神楽。
その前段として、鵺に群がる「猿」たちが農作物を荒らしたり、百姓に悪さをしたりという場面で登場するのです。
『校訂石見神楽台本』の中に掲載されている演目ではありますが、「猿」=「去る」という解釈から、漁師町での奉納神楽では「漁が去るから、やってくれるな」と、上演を禁ずるところもあります。
台本の中をめくってみても、他の演目に比べて「歌は思いつきのものでいい」と書かれていたり、解説が極端に簡素であったりと、神話や神様のいわれ=威徳を説く芸能としては、優先順位の低い演目として扱われていたようです。
(あくまでも、私の主観です。)
しかし、近年、このような注目度の低い演目に、演出や構成を工夫して、見ごたえのある演目に仕上げている団体様が増えてきました。
ですので、当然、注文の幅も広がっている面なんです。